交通事故 交通事故基礎知識 後遺障害 慰謝料
2023.09.19 2024.06.28

交通事故の後遺障害14級が認定されるにはどんな条件が必要?手続き方法と慰謝料の相場

交通事故の後遺障害14級が認定されるにはどんな条件が必要?手続き方法と慰謝料の相場
後遺障害14級が認定されるにはどんな条件が必要?手続き方法と慰謝料の相場

交通事故後に何らかの症状が残れば,慰謝料などを請求したいと考えるのが通常です。

しかし,交通事故後に残った後遺症であっても,後遺障害と認められなければ,後遺障害に対する損害賠償請求は認められません。

当コラムでは,後遺障害等級の中の14級についてご説明します。

目次

1 後遺障害14級とは何か?

「後遺障害」とは,交通事故を原因とする後遺症のうち,治療後も事故前の状態にまで完全に回復せず,残る症状を指します。

後遺障害14級は,後遺障害のうち1番低い等級で,14級の中でも1号から9号に分類されます。

1号 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの・まぶたを閉じたとき,角膜は完全に覆うことができているが,しろめが露出している・まつげの生えているふちの2分の1以上がはげている
2号 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの3本以上の歯を失うか欠損し,入れ歯などで補った
3号 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの片耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満になってしまった
4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの肩の付け根から指先までの間に手のひらの大きさの醜いあとが残った
5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すものふとももから足の甲までの間に手のひらの大きさの醜いあとが残った
6号 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの・人差し指,中指,薬指,小指の手指の指骨の一部を失っていることがエックス線写真等により確認できる・人差し指,中指,薬指,小指の指の骨を骨折した後うまく癒合しなかった
7号 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの・人差し指,中指,薬指,小指の第一関節の曲げ伸ばしができなくなった
8号 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの第三の足指以下とは,足の中指,薬指,小指を指します。・第一関節から第二関節の間の骨もしくは第二関節から第三関節の間の骨を切断した・第一関節若しくは第二関節を離断した・第二関節または第三関節の可動域が2分の1以下になった
9号 局部に神経症状を残すもの身体の一部分に神経症状が残っていることです。・頭や肩などの痛み・手足の痺れ・めまい・関節痛・頭痛など

4号と5号は,醜状障害と呼ばれる後遺障害です。

醜状障害について,当事務所の次のコラムで詳しくご説明しているので,ご覧ください。

交通事故の傷跡に対する治療・対応について知りたい

2 交通事故で後遺障害14級が認定されるにはどんな条件が必要?

後遺障害14級が認定されるにはどんな条件が必要?

⑴症状の残存を医学的に証明できること

後遺障害14級の認定を受けるには,症状が残っていることを医学的に説明しなければなりません。

後遺障害等級の認定は,書類の内容を検討して行うので,異常が映ったMRI画像などの検査結果があれば,医学的に後遺障害を認定できます。

⑵交通事故との因果関係が明らかであること

後遺障害14級が認定されるには,症状と交通事故の因果関係が必要です。

事故から時間が経ってから受診すれば,交通事故とは関係ない症状だと判断される可能性があります。

そのため,事故直後に病院に行って診察を受けなければいけません。

また,交通事故の規模が小さければ,「後遺障害が残るほどの事故ではない」として,症状の原因は事故以外にあると判断される可能性があります。

そのため,後遺障害等級認定申請時に提出する「事故発生状況報告書」の中で,事故状況を正確に伝えましょう。

⑶事故当初から病院で定期的な治療を受け続けていること

後遺障害等級の認定は,症状固定段階でなされます。

これ以上治らないと判断される時期=症状固定の段階を見極めるには,事故発生当初から医療機関で定期的な治療を受けている必要があります。

⑷症状に一貫性があること

症状がコロコロ変わっていると,事故以外に原因があると判断される可能性があります。

そのため,事故発生当初から一貫して同じ症状を訴えている必要があります。

⑸症状に常時性があること

常時性がなければ,日常生活や仕事への支障はないと判断され,その結果,後遺障害14級に該当しないと判断されてしまいます。

3 交通事故で後遺障害14級に認定されるための手続き方法

後遺障害14級に認定されるための手続き方法

後遺障害の認定方法には,⑴事前認定と⑵被害者請求があります。

⑴事前認定(加害者請求)

事前認定とは,加害者が加入している保険会社に申請を任せる申請方法です。

以下のような手続きがとられることになります。

①症状固定
②後遺障害診断書を医師に作成してもらう
③保険会社に後遺障害診断書と同意書等を提出
④保険会社が後遺障害申請を行う
⑤調査
⑥結果が保険会社に送られる

加害者側の保険会社が手続きを行うので,被害者本人には手間がかかりません。

一方で,十分な資料・証拠を収集してくれず,後遺障害が認定されないおそれがあります。

⑵被害者請求

被害者請求とは,被害者(または代理人の弁護士)が申請を行う方法です。

以下のような手続きがとられることになります。

①症状固定
②後遺障害診断書を医師に作成してもらう
③相手方保険会社が取得している申請に必要な書類の写しをもらう
④他に必要な書類などがあれば,書類を集める
⑤自賠責保険金請求書などの申請用紙に必要事項を記入し、資料一式と共に自賠責保険へ送る
⑥調査
⑦調査結果が自賠責保険に送られ、その内容に応じた等級認定の結果が出る

被害者が手続きを行うので,手間・時間がかかるおそれがあります。

一方で,提出書類を被害者が確認できるので,有利な資料・証拠を提出することが可能です。

また,先払い金や仮渡金を受け取ることができます。

⑶事前認定と被害者請求の違い

 メリットデメリット
事前認定(加害者請求)被害者本人にとって手間にはならない十分な資料・証拠が提出されず,後遺障害が認定されないおそれがある
被害者請求・十分な資料・証拠が提出することができる・先払い金や仮渡金を受け取ることができる被害者本人にとって手間・時間がかかる

後遺障害14級を認定してもらうには,十分な資料・証拠を提出する必要があります。

そのため,被害者請求の方法をとった方が,後遺障害14級が認定される可能性が高まるでしょう。

4 交通事故で後遺障害14級に認定されると加害者にいくら請求できる?後遺障害慰謝料の相場

後遺障害14級に認定されると加害者にいくら請求できる?慰謝料の相場

後遺障害14級が認定されると,加害者に対して後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。

後遺障害慰謝料の相場は,

自賠責保険:32万円
弁護士基準:110万円

となっています。

加害者側の保険会社が提示する示談金は相場よりも低いことが多いです。

一方で,弁護士が交渉すれば,「弁護士基準」と呼ばれる過去の裁判例をもとに設けられた基準に基づいて示談交渉を行うことができます。

「弁護士基準」で計算した方が,示談金が高くなります。

また,弁護士相手であれば,保険会社は訴訟に発展することを恐れ,態度が軟化する可能性も高いです。

そのため,弁護士に依頼すれば示談金の増加を見込めます。

なお,交通事故における慰謝料の3つの基準について,当事務所の次のコラムでご紹介しているので,ご覧ください。

交通事故における慰謝料の3つの基準

後遺障害逸失利益は,

基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

の計算式で計算します。

基礎収入額は,事故前の収入をベースに計算します。

労働能力喪失率とは,後遺障害によって失われた労働能力の割合のことで,後遺障害等級によって目安が定められています。

逸失利益が認められると,本来であれば段階的に得られたお金を一括で受け取ることになります。

そうすると,逸失利益を運用するなどして利益が生じるので,その分を控除しなければなりません。

そのため,労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数を掛け,あらかじめ中間利息分の金額を逸失利益から差し引きます。

労働能力喪失期間とは,交通事故が原因で生じた後遺障害の影響で,労働能力を失った期間を指します。

後遺障害逸失利益の計算は煩雑なので,弁護士に依頼した方が,正確な額を請求することができます。

5 まとめ

交通事故後,後遺障害14級と考えられる症状が残った場合に,後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるかは,後遺障害14級が認定されるかにかかっています。

後遺障害14級が認定されるためには,様々なポイントを意識しなければいけないので,ご自分だけで手続きを行い,後遺障害14級が認定されることは難しいです。

後遺障害14級を獲得するためには、交通事故問題に詳しい弁護士に相談をすることをお勧めします。

依頼をすれば、等級の申請時から弁護士が適正なアドバイスを行い、申請手続きを代わりに行います。

その際は、交通事故案件を多く取り扱い、豊富なノウハウを蓄積している弊事務所にご相談されるのが最適かと思われます。交通事故後に何らかの症状が身体に残ってしまった場合は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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