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2024.01.22 2024.07.23

交通事故で脳脊髄液減少症になったらどうなる?後遺障害等級認定のポイントと対処法

交通事故で脳脊髄液減少症になったらどうなる?後遺障害等級認定のポイントと対処法

交通事故に遭ってから,めまいや倦怠感,頭痛が続く。

もしかすると,脳脊髄液減少症かもしれません。

脳脊髄液減少症は,治療方法が確立されておらず,受診可能な医療機関にも限定があるので,治療が難しい病気です。

当コラムでは,脳脊髄液減少症の後遺障害についてご説明いたします。

1 脳脊髄液減少症とは何か?

⑴脳脊髄液減少症の症状

脳脊髄液減少症は,「低髄液圧症候群」,「CSFH」とも呼びます。

交通事故やスポーツ等で体に衝撃が加わって脊髄の硬膜が破れ,髄液が漏れ出して発症します。

具体的な症状としては,頭痛,頚部痛,めまい,吐き気,耳鳴り,全身倦怠感,不眠,記憶障害などがあります。

⑵脳脊髄液減少症の診断基準

①起立性頭痛または,体位によって症状の変化があり,

②MRIアンギオで,びまん性硬膜肥厚が増強するか,腰椎穿刺で低髄液圧60mmH2O以下であることもしくは髄液漏出を示す画像所見が得られていること

③外傷後30日以内に発症しており,外傷以外の原因が否定的なもの

なお,脳脊髄液減少症の症状の1つである頭痛については,当事務所の次のコラムで詳しくご紹介しているのでご覧ください。

交通事故で頭痛が収まらない!後遺障害等級の認定基準と等級別ポイントとは?

参照:福岡県庁ホームページ 脳脊髄液減少症について

2 脳脊髄液減少症の後遺障害等級と等級認定のポイントは?

⑴脳脊髄液減少症の後遺障害等級

脳脊髄液減少症を発症すれば,以下の後遺障害等級認定を獲得できる可能性があります。

等級後遺障害
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

⑵脳脊髄液減少症の後遺障害等級認定のポイント

脳脊髄液減少症の後遺障害等級が認定されるには,まず脳脊髄液減少症であるとの診断を受けなければいけません。

上記の診断基準のうち,画像所見として脊髄MRI,CT脊髄造影,RI脳槽造影が必要です。

脳脊髄液減少症の後遺障害等級を獲得するには,画像所見を得たうえで,上記の診断基準に沿って脳脊髄液減少症との診断を受けることが重要です。

3 脳脊髄液減少症の被害者に支払われる損害賠償額は?慰謝料や後遺障害逸失利益の計算方法

⑴入通院慰謝料

交通事故で受傷したことによる精神的・肉体的苦痛に対する賠償です。

入通院慰謝料には,自賠責基準と弁護士基準(裁判所基準)があります。

自賠責基準では,対象日数1日あたり4300円の入通院慰謝料となります。

対象日数は,傷害の状態,治療日数などを勘案して決定されます。

弁護士基準では,以下の表のとおり,入通院期間で金額が決まります。

   入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院 53101145184217244266284297306314321328334340
1月2877122162199228252274291303311318325332336342
2月5298139177210236260281297308315322329334338344
3月73115154188218244267287302312319326331336340346
4月90130165196226251273292306316323328333338342348
5月105141173204233257278296310320325330335340344350
6月116149181211239262282300314322327332337342346 
7月124157188217244266286304316324329334339344  
8月132164194222248270290306318326331336341   
9月139170199226252274292308320328333338    
10月145175203230256276294310322330335     
11月150179207234258278296312324332      
12月154183211236260280298314326       
13月158187213238262282300316        
14月162189215240264284302         
15月164191217242266286          

なお,慰謝料の基準については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故における慰謝料の3つの基準

⑵後遺障害慰謝料

交通事故が原因で残った後遺障害について,将来にわたって残る症状によって被る精神的苦痛に対する賠償です。

後遺障害慰謝料にも,自賠責基準と弁護士基準があります。

等級後遺障害自賠責基準弁護士基準
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの249万円690万円
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの94万円290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの32万円110万円

⑶後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは,将来得られたであろう収入から,交通事故を原因とする後遺障害によって得られなくなった収入のことです。

収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

で計算します。

収入額とは,事故前の収入を指すことが基本です。

労働能力喪失率は,後遺障害等級によって変わります。

等級後遺障害労働能力喪失率
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの35%
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの14%
14級9号局部に神経症状を残すもの5%

労働能力喪失期間は,症状固定日から67歳までを指します。

なお,逸失利益の計算方法については当事務所の次のコラムでもご紹介しているのでご覧ください。

交通事故の逸失利益はどうやって計算するの?2パターンの具体的な計算方法と弁護士を入れるメリット

4 脳脊髄液減少症の後遺障害等級申請に強い弁護士の探し方

⑴各事務所のホームページから探す

「脳脊髄液減少症 後遺障害 弁護士」と入力して,ヒットした法律事務所に依頼しましょう。

検索結果に上がってきた法律事務所から依頼先を選ぶにあたっては,脳脊髄液減少症を扱った経験があるか,交通事故に強い事務所か,後遺障害等級認定を獲得した実績があるか,示談金を増額した実績があるかを重視しましょう。

そのうえで,自宅からアクセスがいいか,電話相談も受けているかなどの利便性も考慮しましょう。

⑵弁護士/法律事務所の検索サイトを利用する

「弁護士検索サイト」と入力すれば,特定の分野・地域に対応している弁護士や法律事務所を検索できるサイトがヒットします。

インターネットで一から検索するよりも手間が省けます。

ただ,サイト内に掲載されている法律事務所が必ずしもいい仕事をするかの保証はありません。

⑶弁護士会で紹介してもらう

各都道府県の弁護士会に,弁護士の紹介を依頼することができます。

弁護士会のホームページ内で具体的な流れが説明されてあります。

依頼したいと思う弁護士・法律事務所が見つかれば,初回相談を受けましょう。

初回相談後も,依頼したいと思う気持ちが変わらなければその弁護士に依頼しましょう。

なお,弁護士の探し方については当事務所の次のコラムでもご紹介しているのでご覧ください。

交通事故について評判の良い弁護士・口コミ情報を探している!

5 まとめ

脳脊髄液減少症は,相談可能な医療機関も限られており,明確な治療法がないので,治療を受けるまでにも時間がかかります。

被害者やご家族は,治療先を探すことにかなり苦労されると思います。

そのような中で,示談金獲得の手続を行う余裕はないでしょう。

弁護士に依頼すれば,手続きを代行してもらえるので,病院探しや治療に専念できます。

交通事故に遭い,脳脊髄液減少症を疑われている方は,大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。当事務所の弁護士は,交通事故案件の経験が豊富です。

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