交通事故 任意保険
2020.08.19 2024.05.29

加害者と被害者の保険会社が同じ場合どうなるかを知りたい!

加害者と被害者の保険会社が同じ場合どうなるかを知りたい!

交通事故に遭い、被害者の方の治療が終了する、もしくは後遺障害の認定結果が下りると、被害者と加害者の保険会社の間で示談交渉が開始されます。

その時、被害者の方が①任意保険に加入している②過失がある場合は、被害者の加入する保険会社が、被害者に代わって示談交渉をすることがほとんどです。

この時、保険会社に任せていれば安心であるとお考えの被害者の方は多いのですが、任せきりにしていると思わぬ不利益を被害者の方は被ることがあります。

特に、加害者と被害者の保険会社が同じ場合は、被害者にとってさまざまなデメリットが生じることがあります。

そこで、今回は当事者間の保険会社が同じ場合にどういった問題が起こりうるのか、その問題への対処方法についてご案内をさせていただきます。

1 加害者と被害者の保険会社が同じ場合どうなるのか?

加害者と被害者の保険会社が同じ場合、示談交渉を保険会社に任せきりにしてしまうことは、被害者の方にとって大きな問題になりえます。

その問題点は以下の3点です。

⑴示談金が少なくなる可能性
⑵治療の打ち切り
⑶後遺障害等級認定への影響

⑴示談金が少なくなる可能性

交通事故の示談金には、慰謝料の他、休業損害や通院の交通費、後遺障害が認定された場合には逸失利益など多くの種類があります。

これらについて、保険会社は「保険会社の基準」というもので計算をし、必要以上に低額の金額を提示することがあります。

その際に、当事者間で違う保険会社の場合、低額であることを指摘することもあります。しかし、当事者間が同じ保険会社の場合、示談の内容がどうであろうと、ひとつの保険会社が負担することになるので、損得を考えません。

その結果、適当に示談をまとめられる恐れがあります。

また、示談で合意された損害賠償の内容については保険会社が負担をしますが、一方で、示談で賠償の対象外とされたものは、被害者の自己負担になります。

つまり、実際は保険会社が負担すべきものを、示談内容に含まれていなければ、被害者が自己負担する恐れもあるということです。

被害者の自己負担分は保険会社の利益になるとお考え下さい。

⑵治療の打ち切り

多くの場合は、交通事故の怪我の治療については、加害者側の保険会社が治療費を直接病院へ支払いをします。これを一括対応といいます。

この一括対応ですが、少しでも保険会社は出費を抑えるために、被害者の方がまだ痛みを訴えていたとしても、治療費の打ち切りをすることがあります。

特に保険会社が同じ場合は、任せきりにしてしまっていると、保険会社の担当者同士で話をまとめ、いつのまにか打ち切りの話が進んでいるケースがあります。

被害者の方は、治療費の打ち切りを言われた場合は、まだ治療の必要性があることを保険会社に理解してもらう必要があります。

交渉次第で、保険会社によっては延長をしてくれる場合もあります。

しかし、同じ保険会社の場合、治療の延長交渉について被害者側の保険会社が協力的ではないこともあります。

酷い時は、被害者側の保険会社にも関わらず「もう十分に治療しましたよね?まだ治療をしますか?」と加害者側の保険会社のような対応をされることも少なくないです。

⑶後遺障害等級認定への影響

被害者の方は治療を続けても怪我が治らなかった場合、後遺障害の等級認定の申請を行うことが多いです。

この申請は、相手の保険会社から申請する場合(事前認定といいます)と、被害者の方が申請する場合(被害者請求)があります。

もしも、後遺障害の等級が下りた場合は、後遺障害についての損害賠償金が相手の保険会社より支払われます。

さて、この等級認定の申請ですが、保険会社に任せきりにしてしまうことはおすすめができません。

何故ならば、任せきりにしてしまうと、被害者の方は、保険会社がどういった種類の書面を提出し、どういった内容で申請を行ったかがわからないからです。

あまり考えたくはないケースですが、保険会社が、後遺障害の等級が認められにくいように、そういった方向に働く内容の顧問医の意見書といったものを作成し、申請することもあるようです。

これが加害者と被害者の同じ保険会社だった場合、さらにそういったリスクは上がってきます。

上記で述べたどの場合であっても、保険会社が、どちらか一方の当事者に肩入れする危険性は無視できません。

例えば、被害者が個人の契約者で、加害者が多数の車両を契約している運送業者やタクシー業者、企業だった場合、どちらを保険会社が優先するかは明らかです。

このことにより、必ず不当な示談になるとは言いません。しかし、少なくとも被害者からすると、本当に適切な内容なのかという疑問や不安は残る示談となってしまうことは否定できません。

2 保険会社は営利企業であることを忘れない

⑴利益を追求する

保険会社は、営利目的の企業です。基本的には自社が損をしないことを基軸に行動をします。

そのため、相手の保険会社は自社からの出費をできる限り減らしたいがために、低い金額で示談を成立させたいと考えます。

では、被害者の保険会社が相手と同じ場合はどうなるでしょう?

先ほどお伝えしたように、自社が損をしないためにも、「被害者に支払う示談金は少しでも少なくしたい」と考えます。

つまり、加害者側の担当者が、妥当ではない低い金額で示談を提案してきても、それは被害者側の保険会社にとってもプラスになるのです。

⑵適用する基準による損害賠償の違い

そもそも、慰謝料をはじめ損害賠償額を算出するにあたっては3つの基準があります。

最も高い基準が裁判所基準と呼ばれ、最も低い基準は自賠責保険基準と言います。そして、任意保険会社は、この2つの基準の間に位置する任意保険基準という算定基準を使用します。

任意保険基準は、裁判所基準や自賠責保険基準とは異なり、明確な計算方法は明らかにされていません。各保険会社が過去のデータ等を基に独自で計算されます。自賠責保険基準よりは高いとは言われていますが、実際は少しだけ高いか、自賠責保険基準と同等の金額であることが多いです。

この適用する基準によって被害者が最終的に受け取ることのできる損害賠償額は大きく異なります。

事案によっては数十万円の差では済まない時もあります。

そして、先ほども述べましたように保険会社はできる限り損害賠償金を押さえて、会社からの損失を少額にすることが仕事です。

そのため、保険会社同士で示談の内容を交渉する際は、任意保険基準、ないしは自賠責保険基準で話がまとまることが多いと言われます。

3 保険会社が同じ場合に気を付けること

では、当事者の保険会社が同じだった場合に、被害者はどうすればいいのでしょうか?

ポイントは以下の3点です。

⑴保険会社の言いなりにならない
⑵症状固定の判断は主治医
⑶納得できない示談交渉には応じない

⑴保険会社の言いなりにならない

保険会社が被害者に対して不利な条件を提示してきたとしても、決していいなりになってはいけません。

被害者側の保険会社であっても、加害者側の保険会社と同じであれば、100%被害者のための条件であるかはわからないからです。

そして、保険会社が被害者に不利な条件を提示してきた、もしくはその内容に疑問を持った場合は、「なぜそのような提示内容なのか?」を計算根拠、判断の理由を明確にすることが非常に大切です。

保険会社に異論がある場合は、その異論の根拠材料を準備しておきましょう。

そのうえで、「交通事故問題はこういうルールです。」と言われてしまった場合は、本当にそれが正しいのかどうか、弁護士に相談することをお勧めします。

⑵病状固定の判断は主治医

先ほど保険会社は治療費の打ち切りを伝えてくることがあるとお伝えしましたが、これは保険会社が治療費を押さえるために、「もう完治している」と判断しているか、もしくは「これ以上治療をしても改善の見込みはない」、いわゆる症状固定と判断しているかのいずれかになります。

被害者の方が忘れてはならないことは、完治や症状固定の判断は「主治医」が行うものであり、保険会社が決めるものではありません。

保険会社から完治、もしくは症状固定を言われた場合は、まずは主治医に相談しましょう。その後の通院の必要性は主治医が判断してくれます。

もしも、主治医がまだ治療の必要性があると判断するのであれば、それを保険会社に伝えましょう。

それでも解決しない場合は、弁護士に一度相談をしてみましょう。

⑶納得できない示談交渉には応じない

最大限の損害賠償金を受け取るためには、被害者の方は、納得できない示談内容には応じないことが重要です。

交通事故問題について詳しくない被害者の方が、提示された金額が妥当か否かを判断することは非常に難しいです。

しかし、自身の加入する保険会社から言われた示談内容が、妥当なのか否かがわからないまま示談に応じてしまうことは被害者にとって不利益になることもありえます。

納得ができない示談内容である、もしくはこの金額が妥当であるかどうかの判断がつかない場合は、すぐには示談に応じずに、法律の専門家である弁護士に相談することを強くお勧めします。

参考:交通事故で弁護士に依頼した方が良いのか知りたい

参考:交通事故で保険会社が紹介する弁護士の対応について知りたい

4 保険会社の対応にお困りの方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

当事者間の保険会社が同じだった時に起こりうることを中心にご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

実際、幣事務所には当事者間の保険会社が同じであることで起こる問題でお困りの方より、多くのご相談のご連絡をいただきます。

「相手と同じ保険会社だからか、自分の保険会社の担当が言う話をいまいち信用できない。」

「相手の担当が自分の担当より立場が上なのか、交渉がとても弱腰。」

「自分の契約している保険会社なのに、とても高圧的。」

そういったお悩みをお持ちの方が少なくありません。

少しでも保険会社の対応にご不安を感じられましたら、交通事故問題を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談くださいませ。

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