交通事故 交通事故基礎知識 休業損害
2020.08.24 2024.04.25

【差がつく】休業損害証明書の書き方を知ろう!

【差がつく】休業損害証明書の書き方を知ろう!

交通事故に遭い、怪我が原因で仕事を休まざるを得ない被害者の方は少なくありません。

そのような場合に、収入が減少することで受けた被害者の損害を休業損害といい、加害者の保険会社に請求することが可能です。

ここでは、その休業損害を請求するために必要かつ重要となる、休業損害証明書の書き方についてご説明をさせていただきます。

1 休業損害証明書とは?

(1)休業損害とは

休業損害とは,事故が原因で仕事に就けなかったことによる損害のことです。

休業損害を請求するには,休業損害証明書が必要になります。

(2)休業損害証明書の目的

休業損害証明書は、交通事故の怪我により、給与所得者である被害者の方が仕事を休んだことを対外的に証明し、請求するための書類となります。

被害者が加害者側の保険会社に休業損害を請求する際には,休業損害証明書を提出しなければいけません。

この証明書があることで、いつ、どれだけの日数を休業し、どのくらい収入に影響が出てしまったのかがわかります。

なお、個人事業主の方は、雇用主がいませんので、休業損害証明書の作成、提出は不要です。

個人事業主の方が休業損害を請求する際は、確定申告書の写しなどが必要とされます。

自営業で休業損害を請求する場合については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

自営業で休業損害を請求する場合について知りたい

(3)休業損害証明書を提出するときの注意点

休業損害証明書を提出する際は、必ず記載内容に誤りがないかを確認することが重要です。

給与所得者の方の適正な休業損害を算出するにあたって、休業損害証明書は非常に重要な書類となります。

この書面の書き方によって、被害者の方が得る休業損害の金額だけでなく、保険会社が認定するか否かにも関わってきますので、必ず書面内容の記載には注意が必要です。

(4)休業損害の計算方法

そもそも休業損害の計算はどのように行われるのでしょうか?

休業損害の計算方法は大きく2通りあります。

①自賠責基準

休業損害=1日あたり6,100円×休業日数
(令和2年3月31日以前の事故は,1日あたり5,700円)
※なお、自賠責保険では1日あたりの基礎収入の限度額は19,000円とされています。

②弁護士基準

休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
1日あたりの基礎収入は一般的には「事故前3か月分の給与÷90日」で算出されると考えられています。

(5)休業損害証明書作成時に注意すること

休業損害証明書作成時には以下を注意しなければなりません。

①会社が作成する

休業損害証明書は,被害者が作成することはできず,会社に作成してもらう必要があります。

この点について,詳しくは2 休業損害証明書はどうやってもらう?の(2)被害者の勤務先が記入 に記載してあります。

②休業日数

休業の期間や欠勤の日数、有給休暇、早退・遅刻等の日数を記載してもらいます。

治療のために有給を取得した場合も休業損害が支払われるので,その日数も休業日数に含まれます。

休業日数を間違えると休業損害としてもらえる金額が減ってしまうので,正確に記載してもらいましょう。

なお,有給休暇をとって治療した場合に休業損害を受けられるかについては当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故に遭って有給休暇で治療したら休業損害は受けられるか知りたい。

③1日あたりの基礎収入

事故前3か月分の給与額、休んだ期間の給与額などを記載してもらいます。

休業により生じた損害を把握するうえで重要なので,この部分も正確に記載してもらいましょう。

この点が誤りなく記載されているかをしっかりと確認しましょう。

なお,交通事故で休業損害を受け取ることができる時期については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故で休業損害はいつもらえるのか?

2 休業損害証明書はどうやってもらう?

(1)加害者の保険会社から送られてくる

基本的に、休業損害証明書は、加害者の保険会社から送られてくるケースが多いです。

もしも、保険会社から送られてこない場合は、保険会社に休業損害がある旨を伝えて、送ってもらうよう依頼をするようにしましょう。

保険会社のサイトからダウンロードできることもあります。

なお、弁護士に依頼をした場合は、弁護士が書類を保険会社より取り付けることになります。

(2)被害者の勤務先が記入

送られてきた休業損害証明書ですが、実は被害者が作成するものではありません。

休業損害証明書は、被害者の方が勤務されている職場の方に作成を頂きます。

勤務先に休業状況を証明してもらう必要があるからです。

派遣会社に勤務の場合は、登録をしている派遣会社に作成をしてもらうようにします。

職場の方というのは、企業規模によって異なります。

具体的にいうと、人事部や総務部のご担当者の方が多く、勤務先にそういった部署がない場合は、社長の方に作成を頂くことになります。

お勤めの会社に確認するようにしましょう。

作成を頂く方が、「書き方がわからない」となってしまった場合のためにも、予め保険会社より、休業損害証明書の作成例を取り寄せることをおすすめします。

保険会社から休業損害証明書が届きましたら、作成例と一緒に作成してくださる方にお渡しをして、作成をお願いするようにしてください。

(3)休業損害証明書を書いてもらえない場合

万が一、勤務先の方に休業損害証明書の作成を断られた場合、被害者の方はどうすればよいのでしょうか?

まずは、作成ができない理由を確認しましょう。

作成をしたことがないという理由であれば、作成例を見ていただくか、こちらの記事を見て書いてもらうようにしましょう。

それでも、作成することを断られてしまった場合は、別の方法で、休業した事実と給与の減額を証明していかなければなりません。

休業損害証明書で重要とされているのは、①実際の収入、減収分がいくらなのか、②休業期間となります。この2つを証明できるような書面があれば請求できる可能性もあります。

ただし、休業損害証明書ではない場合、保険会社は、「支払いはできません」と、受け付けない傾向が非常に強いので、できる限り職場の方にご協力をいただくようにしましょう。

休業損害を証明する資料の代用としては、給与明細や給与が振り込まれた預金通帳,タイムカードや勤怠表の写しなどがあります。

被害者の方が、実際にどれくらいの給与が支払われ、交通事故が原因で欠勤した日数が何日であるかを証明することになります。

ただし、これらの書類だけでは、「交通事故が原因で休んだ」と証明することが、なかなかに厳しいことが現状です。

保険会社からすると、交通事故が原因なのか、風邪で休んだのか、または私用で休んだのかは判断できないからです。

こういった時、被害者の方の中には諦める方もいらっしゃいますが、まずは、専門家である弁護士に相談するようにしましょう。

3 休業損害証明書の書き方

休業損害証明書の書き方は、各保険会社でフォーマットは多少異なりますが、内容は同じですのでご安心ください。

上記で何度か述べておりますように、作成は勤務先の方にしていただくことになります。

作成する方が休業損害証明書について詳しくない場合もあるかと思いますので、被害者の方も下記の書き方については確認しておきましょう。

また、勤務先の方から作成したものを受け取った際に、誤りがないかを確認するためにも、被害者の方は書き方を知っておくことをおすすめします。

もしも、今お手元に休業損害証明書があれば、照らし合わせながらご確認いただけるとわかりやすいかと思います。

(1)休業期間を記入

まずは、休業した期間を記載してもらいます。

この休業期間を誤ってしまうと、最終的に受け取ることができる休業損害が減ってしまう可能性があります。

(2)欠勤・有給休暇使用・遅刻・早退

欠勤や有給休暇、遅刻、早退のそれぞれの日数をカウントし記入します。

(3)休んだ日を表に記入

休んだと証明する月を記載してもらいます。2~3か月分記載できるフォーマットが多いかと思います。

例のフォーマットの場合は、以下のように記載してもらいます。

①欠勤「○」※半日の場合は/を入れる
②有給休暇「◎」※半日の場合は/を入れる
③遅刻・早退「△」
④使途を限定した休暇「●」※忌引き等
⑤勤務先の所定休日「✕」

これはフォーマットによって指示が異なりますので、書面の指示に従って記載してもらいましょう。

(4)休んだ期間の給与

休業期間中の給与をどのように対応したかを記載してもらいます。

全額支給したのか、しなかったのか、一部支給ないしは減給したのか、該当する箇所に〇をします。

基本的には、欠勤や遅刻・早退については、全額支給しなかったになり、有給休暇の場合は、全額支給した、が該当箇所になるかと思います。

一部支給、減給した場合は、その金額と計算根拠を記載してもらいます。

この記載内容を誤ると、被害者の方の休業損害が大幅に減ってしまうこともありえますので、厳重な注意が必要となります。

正確に書いてもらうようにしましょう。

(5)事故前3ヶ月の支給された給与額

交通事故の3か月前に支給された給与額を記載してもらいます。

パートやアルバイトの方の場合には、所定勤務時間、また休憩時間を除いた一日の実働時間、週何回勤務なのかを記載してもらうようにしましょう。

なお、事故前の1か月前から勤務を始めた方、事故前の3か月間は無職で、事故があった月から働き始めた方は記載が難しくなります。

こういった場合は、保険会社に事情を説明し、どういった資料が必要か確認するようにしましょう。

もしも弁護士に依頼をされているのであれば、弁護士に必ず相談するようにしてください。

(6)社会保険や労災保険からの給付の有無

社会保険や労災保険から補償を受けているか否かを記載してもらいます。

労災保険の休業補償給付と休業損害を重複して受け取ることはできません。

そのため,補償を受けているにも関わらず記載を、「受けない」、とすると後々大きな問題となりますので、ご注意ください。

なお,休業損害と休業補償については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故後の休業損害と休業補償について知りたい

(7)下段に必要事項を記入

最後に、休業損害証明書の発行元や作成者について記載をします。

①勤務先の所在地
②商号または会社名
③代表者氏名
※「社印」が必須となります。法人の場合は法人の印鑑となります。
④記入日(作成日)
⑤電話
⑥担当者名
⑦担当者連絡先

休業損害証明書と一緒に、被害者の方の、事故の前年度の源泉徴収票を提出する必要があります。もしも、源泉徴収票がない場合は、賃金台帳の写しや雇用契約書、所得証明書を出すようにしてください。

休業損害証明書には、貼り付ける箇所がありますので、最終的には貼ったうえで提出をしましょう。

休業損害証明書書式フォーマット.PDF

4 休業損害証明書については大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

休業損害証明書についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

休業損害証明書の内容次第では、被害者の方は大きく損をする可能性があります。

また、休業損害は交通事故の示談交渉において、争点になりやすいポイントの1つです。

適正な休業損害を得るためにも、また勤務先に何度も書き直してもらうという手間がないように、休業損害証明書の書き方、ポイントはしっかりと把握しておくようにしましょう。休業損害証明書の書き方や、休業損害の請求においてのお悩みなどは、交通事故問題を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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