• ホーム
  • コラム一覧
  • 【ルール】英文契約書における反社会的勢力排除条項(Anti-Social Forces)の必要性と記載方法
2024.01.24 2025年4月9日

【ルール】英文契約書における反社会的勢力排除条項(Anti-Social Forces)の必要性と記載方法

【ルール】英文契約書における反社会的勢力排除条項(Anti-Social Forces)の必要性と記載方法

1 英文契約書における反社会的勢力排除条項(Anti-Social Forces)の意義と必要性

(1)反社会的勢力排除条項とは

反社会的勢力排除条項(以下,「反社条項」と呼びます)とは,契約を締結する際,当事者双方が反社会的勢力でないことや,暴力的な行為を要求しないことなどを保証する条項です。暴力団排除条項とも呼ばれます。

日本企業が契約書に反社条項を入れることとなった契機は,政府の犯罪対策閣僚会議で「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(企業暴排指針)」を推奨した2007年にまで遡ります。

その後,2010年4月,福岡県で全国初となる総合的な内容を有する暴力団排除条例が施行され,暴力団排除条例が各都道府県で施行されるに至りました。

例えば,執筆時点(2024年1月)で施行されている東京都暴力団排除条例では,契約の際,契約当事者が暴力団関係者でないことを確認し,暴力団排除条項を設けることが努力義務として定められています。

(事業者の契約時における措置)
第18条 事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。
2 事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。
一 当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができること。
二 工事における事業に係る契約の相手方と下請負人との契約等当該事業に係る契約に関連する契約(以下この条において「関連契約」という。)の当事者又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は当該事業に係る契約の相手方に対し、当該関連契約の解除その他の必要な措置を講ずるよう求めることができること。
三 前号の規定により必要な措置を講ずるよう求めたにもかかわらず、当該事業に係る契約の相手方が正当な理由なくこれを拒否した場合には、当該事業者は当該事業に係る契約を解除することができること。

引用:東京都暴力団排除条例(全文)|警視庁

(2)反社会的勢力排除条項の必要性

上記のように,各都道府県の条例によって,契約書に反社条項を規定することが求められるほか,上場企業の場合には,有価証券上場規定による要請もあります 。

また,反社会的勢力との関係は,法令遵守や企業倫理に反するだけでなく,企業の信用や評判を損なう可能性があるでしょう。

そのため,反社条項は,法令や規制に従うといったコンプライアンスの側面のみならず,企業リスクを回避するという側面からも必要であり,かつ重要であるといえるでしょう。

このような反社条項の必要性は,日本企業である以上,国際取引における英文契約書においても同様です。

2 英文契約書の反社会的勢力排除条項(Anti-Social Forces)の記載方法

反社条項は,以下に挙げる内容を記載することが多いです。

(1)反社会的勢力の定義
(2)反社会的勢力に該当しないこと
(3)暴力的な要求行為などの反社会的行為をしないこと
(4)違反時に契約解除や損害賠償ができること

(1)反社会的勢力の定義

例)
“Anti-Social Forces” means organized crime groups, members of organized crime groups, associates of organized crime groups, corporate racketeers, and other similar groups.

参考訳:
「反社会的勢力」とは、暴力団、暴力団員,暴力団の関係者,総会屋、その他これらに類する団体をいう。

まずは,反社会的勢力の定義を明確にしておきましょう。

定義を明確にしておくことで,互いに反社会的勢力に該当するかの判断が可能となります。

関連記事:【基本】英文契約の定義条項(Definitions)はなぜ重要なのか?その意味と注意点を解説

(2)反社会的勢力に該当しないこと

例)
Each party represents and warrants that it is not now and will not be in the “Anti-Social Forces”.
 
参考訳:
各当事者は,現在及び将来にわたって,「反社会的勢力」に該当しないことを表明し保証する。

契約当事者が,現在はもちろん,将来においても反社会的勢力でないことを表明し保証しています。

これによって,安心して取引を行うことが可能となりますが,独自の反社チェックを怠る理由にはなりませんので注意しましょう。

(3)暴力的な要求行為などの反社会的行為をしないこと

例)
Each party shall not, by itself or by using a third party, make violent demands, unreasonable demands beyond legal responsibility, use threatening language or violence, spread false rumors, or use deception to damage the other party’s credibility or obstruct its business, or commit any other acts equivalent to the above against the other party.

参考訳:
各当事者は,自ら又は第三者を利用して,相手方に対し,暴力的な要求行為,法的な責任を超えた不当な要求行為,脅迫的な言動又は暴力を用いる行為,虚偽の風説を流布し又は偽計を用いて相手方の信用を毀損し又はその業務を妨害する行為,その他上記に準ずる行為をしてはならない。

暴力的な要求行為などは反社会的行為であるため,このような行為を禁止しています。

「反社会的勢力」の定義条項の中で,上記例文に挙げた行為を行う者と定めた場合も,反社会的行為を禁止する効果があります。

(4)違反時に契約解除や損害賠償ができること

例)
If the other party breaches any of the representations and warranties outlined in the preceding clause, each party may terminate this Agreement without any notice to the other party and demand compensation for damages caused thereby.

参考訳:
各当事者は、相手方が前項の表明及び保証に違反した場合、相手方に対する何ら催告を必要とすることなく、本契約を解除し、これにより生じた損害の賠償を請求することができる。

相手方が反社会的勢力であった,あるいは反社会的勢力と関わりを持ったなど,反社条項違反が発覚した場合に,ただちに契約解除や損害賠償ができることを定めておきましょう。

反社条項の中でも必ず押さえておきたいポイントの一つです。

違約金を定めることも可能ですが,その際には,具体的な金額や別途損害賠償請求できる旨を明記しておきましょう。

3 英文契約書の反社会的勢力排除条項を定めた場合の注意点

(1)反社チェックは怠らない

契約書に反社条項を定めたからといって,安心はできません。

相手方が反社会的勢力と関わりがないか,反社チェックを怠らないようにしましょう。

国際取引において,海外企業の調査は容易ではありませんが,マネーロンダリングや仮想通貨取引を装った犯罪などに手を貸してしまうことがないよう注意しましょう。

海外企業の調査にあたっては,現地の専門家や調査会社に依頼するなどの方法があります。

(2)自社の危機管理を徹底する

意図せずとも,自社が反社会的勢力と関わりを持ってしまった場合,相手方から契約解除や損害賠償請求をされてしまう可能性があります。

また,反社会的勢力と関わりを持っていたというたった1つの事実によって,企業の信用が急激に低下し,企業の存立に影響を及ぼしかねない損失を与えてしまう可能性もあります。

企業や有名人などが反社会的勢力と関わりを持っていたとして,ニュースに取り上げられることも少なくありません。

自社のコンプライアンス体制をしっかり整え,反社会的勢力と繋がりを持たないよう徹底した危機管理を行いましょう。

4 まとめ

今回は,英文契約書における反社会的勢力排除条項(Anti-Social Forces)の必要性と記載方法などについて解説しました。

反社条項とは,契約を締結する際,当事者双方が反社会的勢力でないことや,暴力的な行為を要求しないことなどを保証する条項です。

反社条項は,法令や規制に従うといったコンプライアンスの側面のみならず,企業リスクを回避するという側面からも必要といえるでしょう。

このような反社条項の必要性は,日本企業である以上,国際取引における英文契約書においても同様です。

万が一,反社会的勢力と関わりを持ってしまった場合には,企業の信用が急激に低下し,企業の存立に影響を及ぼしかねない損失を与えてしまう可能性もあるため注意しましょう。もし,英文契約書について,ご不明な点がございましたら,お気軽に当事務所までお問い合わせください。

このコラムの監修者

弁護士法人 法律事務所ロイヤーズハイ

永田 順子弁護士(大阪弁護士会) 弁護士ドットコム登録

国内取引のみならず、海外企業との取引を行う際の法務に携わってきました。 海外企業との英語・英文での契約書の作成・チェックを強みにしております。 海外進出・展開をお考えの方、すでに海外企業と取引があって英文の契約書を作りたい・ 見直したい方は是非一度ご相談くださいませ。

カテゴリ一覧

アクセスランキング

新着記事

CONTACTお問い合わせ



ご相談など、お気軽に
お問い合わせください。

電話アイコンお電話でのお問い合わせ

06-4394-7790受付時間:8:30~19:00(土日祝日も営業)

メールアイコンwebフォームよりお問い合わせ