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労働組合法では、会社側(使用者側)が労働組合の自主性(独立性)・団結力・組織力を損なわせないよう不当労働行為制度が定められています。
不当労働行為をしてしまうと、労働委員会から救済命令が下されたり、損害賠償を請求されたりするなどのリスクが生じます。
今回は、そんな不当労働行為の1つである支配介入について解説します。
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目次
支配介入とは、会社側(使用者側)による労働組合の結成・運営に対する干渉行為や様々な組合弱体化行為のことです。
労働組合の自主的活動を妨げ、組合を弱体化する行為全般を指します。
会社側によって支配介入が行われると、組合の自主性が損なわれ、組合が弱体化し、対等な立場から従業員(労働者)の利益のために団体交渉等の活動を行うことが困難となるため、これを防止すべく法律によって禁止されています。
会社側(使用者側)が労働組合の自主性(独立性)・団結力・組織力を損なわせたと認められる場合に支配介入が成立します。
具体的には、使用者が支配介入意思をもって支配介入にあたる行為を行った場合です。
以下に挙げる点が重要となります。
原則として、支配介入を行う主体は使用者です。
会社の代表者である社長が使用者にあたることに問題はないでしょう。
しかし、実際の行為者が使用者である場合に限られず、役員や管理職、従業員、第三者などによる行為も、会社の支配介入として責任を負う場合があります。
例えば、使用者以外者が使用者から直接指示を受けて行った場合や、使用者以外の者が使用者の「意を体して」行った場合などです。
使用者の意向に沿って行為に及んだといえるような場合には、「意を体して」行ったといえるでしょう。
支配介入が認められるには、会社側に支配介入の意思が必要となるかについて、見解は分かれています。
ただし、支配介入意思が必要であると考える場合であっても、積極的に支配介入しようとする意思までは必要でなく、単に反組合的な意図をもってすれば足りると考えられています。
裁判例では、その行為が客観的に組合弱体化ないし反組合的な結果を生じ、または、生じるおそれの認識・認容があれば足りると判断されています。
支配介入の具体的な態様は、法律で定められていません。
組合を弱体化する行為であると認められれば足りるため、様々な態様の行為が含まれます。
例えば、以下に挙げるような行為は、支配介入にあたる可能性があります。
ここでは、支配介入に関する具体的な事例を3つご紹介します。
会社側の行為が支配介入にあたると判断される場合、会社が不当労働行為責任を追及される可能性があります。
そのような事態にならないよう、会社側としては以下の点に注意しましょう。
会社が一定の言論を発表するにあたって、その内容や手段、時期に十分注意する必要があります。
会社と組合が対立している状態が続いている場合には、特に注意する必要があるでしょう。
裁判では、言論が組合員に対して威嚇的効果を与え、組合活動を委縮させる効果をもつような場合に支配介入が成立すると判断されることが多いです。
合理的な理由もなく、正当な組合活動に対し、これまで許諾していたにもかかわらず会社の施設利用を拒否したり、中止したりすることは避けましょう。
会社は、法律上、会社の施設を組合活動に利用させる義務はありません。
しかし、これまで利用許諾していた場合には、利用許諾することが労使慣行となっていたと判断される場合もありますし、労働協約などで認めているにもかかわらず合理的な理由なく一方的に拒否・中止することは、支配介入にあたると判断される可能性があります。
勤務時間外に行われる集会やビラ配布など、正当な組合活動を妨害・排除してはいけません。
例えば、ビラを撤去するような場合には、正当な組合活動に基づいて行われたものであるかどうか慎重に判断する必要があります。
対立路線を図る組合を弱体化する目的で、協調路線を図る組合の組合員に対して優遇措置を行うことはやめましょう。
一方の組合に対する優遇措置は、他方の組合に対する弱体化行為と判断されうるため、支配介入にあたると判断される可能性があります。
優遇措置の内容は様々で、賃金はもちろんですが、施設の利用を特定の組合に対しては拒否したりすることも優遇措置にあたる可能性があります。
今回は、不当労働行為の1つである支配介入について解説しました。
しかし、支配介入の具体的な態様は、法律で定められていません。
支配介入が成立すると判断される場合には、会社が不当労働行為責任を追及される可能性があります。
そのため、どのような態様を行うと支配介入が成立しうるのか、会社側は知っておく必要があるでしょう。
反組合的な発言や正当な組合活動を妨害したりしないよう注意してください。もし、支配介入を含む不当労働行為について、ご不明な点等ございましたら、労働紛争に強い弁護士である弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイまでお気軽にご相談ください。
このコラムの監修者
弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ
金﨑 正行弁護士(兵庫県弁護士会) 弁護士ドットコム登録
交渉や労働審判、労働裁判などの全般的な労働事件に対応をしてきました。 ご相談いただく方にとって丁寧でわかりやすい説明を心がけ、誠心誠意、対応させていただきます。 お困りの方はお気軽にご相談ください。
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