Joint Venture合弁契約



はじめに

あなたの会社が海外に進出するための方法として、現地企業との間で合弁会社を設立したり、現地企業に投資することなどが考えられます。

まずは、パートナー候補の会社の能力や信用性の調査を行い、出資に関する現地法制などを検討した結果、合弁会社を新たに設立するかどうかの検討が重要です。その検討の結果、合弁会社を新たに設立することとした場合に、重要となる点のうちいくつかを下記します。

1MOU等の締結

合弁契約に限らず、複雑な内容の契約や契約締結までに時間がかかる交渉を開始する場合、事前にMOU(Memorandum of Understanding)、LOI(Letter of Intent)、Term Sheetなどを締結することがあります。
合弁契約を交渉する際には、MOU等を締結し、その中において、他社との交渉を禁じたり、合弁会社に至るまでのスケジュールや合弁契約内容の骨格(例えば、経営権、出資比率、役員構成といった基本事項や、会社を新設するのか、既存会社へ出資するのか等)を決めることがあります。これらの書面は、正式契約に至る前の当事者間の基本的合意内容を簡潔にまとめたものということができるでしょう。
基本的合意内容が箇条書きされただけの書面であっても、そこにあなたの会社が意図しない条件が記載されていて、それに気づくことなく法的拘束力を伴う形でサインしてしまった場合は、後日、正式契約締結までの交渉を行う際に不利益を被ることになりかねません。慎重に対応しましょう。

2契約書の必要性

合弁会社を設立する場合には、定款だけを作成するのではなく、株主間契約や合弁契約等を締結しましょう。会社の取締役、株主、会社間の関係を規定するコーポレートガバナンスに関する契約書であり、今後、当事者間で明確なビジネス関係を築くためのものといえます。詳細な規定を設けた契約書を作成するためにコストがかかるとしても、紛争が生じた際の対応費用に比べれば、トラブル発生の可能性を減少させるという大きなメリットがあると考えています。
例えば、あなたの会社が少数株主であっても、契約書に少数株主の同意が必要な事項を詳細に規定することによって、相手方が契約に違反すれば契約上の救済措置が得られることになります。例えば、あなたの会社が多数株主であるとしても、少数株主の同意が必要な事項についてデッドロックが生じた場合の解消方法の規定がなければ、法律上の規定だけでは早期解決はできないかもしれないので、対応する規定を設けた方がよいかもしれません。
新株発行、株式の売却制限、配当方針、会社の意思決定方法、デッドロック解消方法などに関わる規定を明記することで、後のトラブルを減らすことができます。

3税(Tax Matters)

合弁会社設立を検討する場合には、現地税制などの事業に関係のある税を慎重に検討する必要があります。事業期間中に合弁会社がどのような課税を受けるのか、資金注入や撤退時にどのような課税を受けるのか、配当や貸付金に対する利子及びロイヤルティなどについて現地政府からどのように税金を源泉されるのかなどを、契約スキームの検討と並行して検討しましょう。
たとえば、
●インドネシアで合弁会社を設立した場合、租税条約の適用がなければ、配当に対して20%が源泉税としてインドネシア当局に源泉されることになります。日本とインドネシア間の租税条約に基づく届出をした場合には、出資比率が25%以上の場合は10%、出資比率が25%未満の場合は15%が源泉されることになります。
●合弁会社を設立した場合には、あなたの会社が保有する知的財産権について、合弁会社に対して実施を許諾するためのライセンス契約を締結することもあるかもしれません。ライセンス料の設定においては、移転価格税制を考慮に入れる必要があります。

事業の海外展開には必ず現地税制を検討する必要があり、特に、合弁契約のような複数の契約が関連するような取引を検討している場合には、必ず国際取引に詳しい税理士等の専門家に事前に相談するようにしましょう。

4撤退条項(Deadlock and Exit)

(1) デッドロック(Deadlock)

合弁会社の意思決定方法として全取締役の同意を必要とする事項を設けた場合で、出資者間で根本的な意見の相違があるときなどは、会社が意思決定できない事態に陥ることがあります。
このような状況をデッドロックといいます。
デッドロックは、これを早期に解消できなければ、業務に支障をきたしますし、株主価値を低下させてしまうことになります。
デッドロックが問題になるのは、出資比率を半々とする合弁会社に限りません。あなたの会社が、出資比率や取締役会の取締役の数において多数派であったとしても、一定の特定事項(Reserved Matters)については少数株主やその指名する取締役の合意を必要とすることとした合弁会社については、やはりデッドロックが生じる可能性があります。
一般的には、デッドロックが生じた場合、パートナー企業間で協議を行い、協議で解決できないときはパートナー企業の代表などから構成される委員会等によって問題解決のための協議を行うと取り決めておくことが多いです。
それでもなお解決できない場合もあるため、その場合に備えて、合弁を解消するための規定(Exit)を設ける必要があります。

合弁契約において一般的なExit規定として、次のようなものがあります。

(2) デッドロック解消方法の一例

ア)デッドロック解消方法の一例

合弁会社の意思決定方法として全取締役の同意を必要とする事項を設けた場合で、出資者間で根本的な意見の相違があるときなどは、会社が意思決定できない事態に陥ることがあります。
このような状況をデッドロックといいます。
デッドロックは、これを早期に解消できなければ、業務に支障をきたしますし、株主価値を低下させてしまうことになります。
デッドロックが問題になるのは、出資比率を半々とする合弁会社に限りません。あなたの会社が、出資比率や取締役会の取締役の数において多数派であったとしても、一定の特定事項(Reserved Matters)については少数株主やその指名する取締役の合意を必要とすることとした合弁会社については、やはりデッドロックが生じる可能性があります。
一般的には、デッドロックが生じた場合、パートナー企業間で協議を行い、協議で解決できないときはパートナー企業の代表などから構成される委員会等によって問題解決のための協議を行うと取り決めておくことが多いです。
それでもなお解決できない場合もあるため、その場合に備えて、合弁を解消するための規定(Exit)を設ける必要があります。

合弁契約において一般的なExit規定として、次のようなものがあります。

イ)テキサス・シュートアウト(Texas Shoot-Out)

テキサス・シュートアウトとは、各株主が、他の株主の株をある価格で買い取るという入札を、独立した第三者に対して密封した封筒に入れて差し出すことにより行い、より高い価格で入札した株主が、その入札価格で他の株主の株を買い取るというものです。

その他にも、デッドロックが生じた場合には、中立な第三者の判断に委ねる、等の方法があります。

(3) Termination

将来的には、合弁事業に大きなトラブル等が生じてしまい、撤退したいと考えることがあるかもしれません。事前に、どのような事情が生じたら撤退するのかを考えておき、それを契約書に盛り込むようにしましょう。
例えば、「合弁会社の累積損失が○米ドルに達したら解散する」と契約書に盛り込むことによって、巨大な損失を抱えているにもかかわらず会社をたたんでしまうことができない、という事態を回避することが考えられます。

その他にも重要となる規定は取引毎に多々存在します。
国内、海外問わず、合弁契約についてご不明な点があれば、当事務所までお気軽にお問合せください。

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