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不可抗力条項とは ,戦争や自然災害など,契約当事者にとってどうしようもない事態が発生し,そのために当事者の一方,または双方が契約上の義務を果たせなくなった場合には,債務不履行責任を負わないことを定めた条項をいいます。
長期間にわたる取引や,有効期間の長い国際取引契約では,契約時には想定していなかった事態が発生することがあります。
そのような事態が発生した場合に,どのような解決を図るのか,あらかじめ契約当事者のそれぞれの責任やリスク負担を明確にするために,不可抗力条項が定められます。
国際取引では,何が不可抗力にあたるのか明確な定義はありません。
そのため,英文契約書において,不可抗力にあたる具体的な事態を明確に定めておくことが重要です。
なお,不可抗力は“Force Majeure”と言いますが,英語ではなくフランス語であり,日本語ではそのまま「フォース・マジュール」と呼ぶことが多いです。
英文契約で古くから使用される表現(リーガル・ジャーゴン)です。
英語の “act of God”(自然災害,不可抗力)に似ていますが,“act of God”が自然災害を中心にして理解されているのに対し,“Force Majeure”はカバーする事象が広く,使用頻度も高いです。
上記の例では,不可抗力(“Force Majeure”)を「当事者の合理的なコンロールを超え,かつ契約締結時に合理的に予見できない事態」と定めているだけで,具体的にどのような事態が不可抗力にあたるのか明記されていません。
具体的にどのような事態が不可抗力にあたるのか明記していないと,ある事態が生じた場合に,当事者間で“Force Majeure”にあたるあたらないの紛争が生じてしまう可能性があります。
ここでは,一般的な不可抗力条項の一部を取り上げ,分かりやすく解説します。
不可抗力については,具体的に明記する必要があると説明しました。
しかし,具体的に明記すべき不可抗力は,契約の目的物や輸送の有無などの契約内容によって異なります。
例えば,工場の爆発(explosion of the factory of the Manufacturer)や長期間にわたる電力不足(prolonged failure or shortage of electric power),石油・ガスなどのエネルギー不足(shortage of petroleum, gas or other energy sources)などは,契約内容次第で「不可抗力」に盛り込む必要性が出てくるでしょう。
不可抗力が発生した場合,放置しておくと影響が大きくなりかねません。
そのため,不可抗力により影響を受ける一方当事者に通知義務を課し,影響を最小限にとどめる努力を求めます。
影響を最小限にとどめる努力義務については,通知義務条項に続いて明記しておきましょう。
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英文契約書における通知条項(Notice)とは?サンプルをもとに解説
国際取引では,不可抗力が発生した場合であっても金銭債務の履行は免責されないというのが原則であり,長らく常識となっていたため,契約書の中でもあえてその旨を記載しないことがありました。
しかし,ロシアやアジアをはじめ,通貨危機や通貨暴落,外貨による対外支払いの凍結,銀行の倒産といった事態がしばしば発生するに至り,交渉過程で不可抗力事態という認識で議論が交わされるようになりました。
金銭債務は不可抗力でも免責されないことが常識であるからといって,必ずしも契約の相手方が同じ認識であるとは限りません。
そのため,金銭債務については不可抗力が適用されないことを明記しておくことが肝要です。
不可抗力事態が一定期間継続した場合であっても,契約当事者において当然に解除権が発生するわけではありません。
不可抗力条項は,履行の遅延や履行できないことに対する責任を免れることを定めるだけです。
そのため,不可抗力事態が一定期間以上続いた場合に,契約を解除できるようにするため,解除権の発生を契約書で明確に定めておきましょう。
英文契約における“Frustration”(フラストレーション)とは,契約締結時に予期できず,当事者のコントロールが及ばない事態の発生により契約が履行できなくなった場合に,契約を終了することをいいます。
一種の法理であり,裁判で認められることがあります。
“Frustration”に該当する事由が認められる場合には,契約が自動的に終了し,当事者は契約関係から解放される(義務から解放される)ことになります。
どのような場合に契約が履行できなくなったと言えるかについては,契約の内容次第であり,具体的な事案によって異なります。
例えば,中古自動車の売買契約成立後に目的物である中古自動車が地震による火災によって滅失してしまったような場合は,“Frustration”により契約は終了したといえる可能性があります。
“Force Majeure”と“Frustration”は,共に英米法における無過失責任の厳格さに対処するものとして,当事者の責任を限定する意味合いがあり,この点で両者は重なる部分があります。
しかし,“Force Majeure”は,契約で明確に規定することによって責任を免れるのに対し,Frustrationは,裁判で認められることで初めて責任を免れることができます。
そのため,契約書作成の段階でしっかりと不可抗力条項(“Force Majeure”)を定めておくことが,将来の紛争を回避するための有効な手段といえるでしょう。
今回は,英文契約書の不可抗力条項(“Force Majeure”)について解説しました。
不可抗力条項とは,戦争や自然災害など,契約当事者にとってどうしようもない事態が発生し,そのために当事者の一方,または双方が契約上の義務を果たせなくなった場合には,債務不履行責任を負わないことを定めた条項をいいます。
国際取引では,何が不可抗力にあたるのか明確な定義がないため,不可抗力の範囲を明確に定めることが特に重要です。
不可抗力を明確に定めておくことによって,将来の紛争を回避することが可能となります。もし,英文契約書の作成やレビューに関して,ご不明な点がございましたら,当事務所までお気軽にお問い合わせください。
このコラムの監修者
弁護士法人 法律事務所ロイヤーズハイ
永田 順子弁護士(大阪弁護士会) 弁護士ドットコム登録
国内取引のみならず、海外企業との取引を行う際の法務に携わってきました。 海外企業との英語・英文での契約書の作成・チェックを強みにしております。 海外進出・展開をお考えの方、すでに海外企業と取引があって英文の契約書を作りたい・ 見直したい方は是非一度ご相談くださいませ。
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