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通知条項(Notice)とは,契約締結後の通知方法や通知の相手方,通知の効力が発生する日など,通知に関するルールを定める条項です。
契約が締結されると,契約内容に従って具体的な取引が開始されます。
その具体的な取引の中で,相手方や契約に関する第三者に対して,何かしらの通知を必要とする場面がでてくるでしょう。
例えば,企業間で「対価の支払を請求する場面」や「契約を解除する場面」などです。
その際,どこに通知すべきなのか,どのような方法で通知すべきなのか,通知すれば直ちにその効果が発生するのかなど,様々な疑問がでてきます。
通知に関する取り決めがないと,通知の効力発生に食い違いが生じるといったトラブルが起こってしまい,最悪の場合は紛争へと発展しかねません。
そのような紛争を回避するうえで,通知条項は非常に重要な役割を果たします。
そのため,具体的事案に応じて,適切な通知条項を定めることをお勧めします。
ここでは,通知条項のサンプルを一部抜粋し,特に注意すべき点について解説します。
上記例では,通知方法を契約書に記載された住所で手渡しによるか書留郵便に限定しています。
手渡しを表現する “delivered by hand”は “delivered personally”と表現することもできます。
通知方法は,書面に限らず電話やファクシミリ,電子メールなど様々な方法があります。
国によっては,交通網が発達していない,治安が悪いなどといった事情から郵便システムが信用できないという場合もあるでしょう。
電子メールについても,通信インフラが整っていない地域では,到達の信頼性に欠けることになります。
通知は相手方が知ることができなければ意味がありません。
通知内容が相手方に届くと思われる合理的な方法を選択するようにしましょう。
契約当事者間での通知をどこの誰にすれば良いのか決めておくことが重要です。
通常,宛名は企業のトップではなく,その案件に関わる責任者(担当者)を定めることが多いでしょう。
契約書に明記されていない宛名や住所に誤って送ってしまった場合,その通知は届かなかったという扱いを受けてしまう可能性があります。
結果として,通知内容の法律効果が認められない場合があるため,注意しなければいけません。
宛先の変更がある場合には,できるだけ速やかに書面などで相手方に通知すること,宛先変更の通知がなかった場合には,解除等の通知が有効となる場合もあることなども規定しておくと,将来のトラブルを回避することができるでしょう。
上記例では,それぞれの通知方法ごとに,通知の効力が発生する日を定めています。
契約の更新や解除の手続きでは,いつ通知がなされたことになるのかが非常に重要です。
その場合の判断基準として,相手方が受領したとみなす日をあらかじめ決めておくと,将来の争いを回避することができるでしょう。
例文では,書留郵便で送付された場合,営業日(business day(s))だけを基準に日数を数える方法を取っています。
祝日や休日を含めて期間を数えたい場合には,“calendar day(s)”を使います。
レター・アグリメント(“Letter Agreement”)のように,比較的簡単な短い契約書では,一部の条項を除いて,一般条項がほとんど記載されないことがあります。
基本的に,契約書の作成形式は自由であって,統一的なルールはありません。
当事者間が合意のうえ,署名されている限り,一般条項がほとんど記載されていない契約書も有効です。
また,契約当事者が単に取決めを失念していた場合や,後述する準拠法などの適用があるため,あえて規定しなかったという場合も考えられます。
では,通知条項が規定されていなかった場合,通知はどのように取り扱われるのでしょうか。
まず,準拠法条項(“Governing Law”)が規定されている場合には,準拠法に従うことになります。
準拠法とは,契約を解釈する際に基準となる法律をいいます。
例えば,準拠法を日本法にしている場合は,日本の民法に従い,通知(意思表示)の効力は,通知が相手方に到達した時から生じることになります。
引用:民法|e-Gov 法令検索
準拠法については,以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:海外進出を考える中小企業担当者必見!英文契約の準拠法(Governing Law)講座
海外進出を考える中小企業担当者必見!英文契約の準拠法(Governing Law)講座
また,契約内容や準拠法の定めからウィーン売買条約(CISG)の適用を受ける場合には,ウィーン売買条約に従うことになります。
引用:国際物品売買契約に関する国際連合条約(和文テキスト)|外務省
ウィーン売買条約の適用は,当事者間の契約で排除することができるため,適用の排除を求める場合には,契約書に定めておきましょう。
ウィーン売買条約について,詳しくお知りになりたい方は,下記コラムをご覧ください。
関連記事:ウィーン売買条約(CISG)って何?国際取引で知っておきたい基本的なルールを解説
ウィーン売買条約(CISG)って何?国際取引で知っておきたい基本的なルールを解説
以上のように,仮に通知条項が規定されていなくても,通知がただちに無効となるのではなく,適用される法や条約,あるいは慣習によって有効性が判断されることになります。
もっとも,契約当事者であらかじめ通知の送付先や効力発生日を具体的に取り決めておくと,契約の段階で共通の理解が形成され,食い違いが生じにくくなります。
そのため,あらかじめ通知条項を定めておく方がトラブルの回避につながるといえるでしょう。
今回は,英文契約書における通知条項(Notice)について解説しました。
通知条項は,特に企業間において「対価の支払を請求する場面」や「契約を解除する場面」などで非常に有効な役割を果たします。
通知に関する取り決めがないと,後々トラブルとなり,紛争に発展しかねません。
通知方法や通知の相手方,通知の効力が発生する日など,具体的事案に応じた適切な通知条項を定めましょう。
通知条項を定めていない場合には,準拠法などによって通知内容の有効性が判断されることに注意しましょう。もし,英文契約書でご不明な点がございましたら,当事務所までお気軽にお問い合わせください。
このコラムの監修者
弁護士法人 法律事務所ロイヤーズハイ
永田 順子弁護士(大阪弁護士会) 弁護士ドットコム登録
国内取引のみならず、海外企業との取引を行う際の法務に携わってきました。 海外企業との英語・英文での契約書の作成・チェックを強みにしております。 海外進出・展開をお考えの方、すでに海外企業と取引があって英文の契約書を作りたい・ 見直したい方は是非一度ご相談くださいませ。
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