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労働組合(ユニオン)から団体交渉を求められたり、労働組合に加入している従業員がストライキを起こしたりすることがあります。
使用者である企業側が不適切な対応をしてしまうと、不当労働行為として紛争に発展する可能性があります。
企業としては、どのように対応すべきでしょうか。
また、弁護士に対し、どのようなことを求めることができるのでしょうか。今回は、労働組合との紛争から企業を守るための対策などについて解説します。
目次
企業による不当労働行為が大きな要因の1つです。
不当労働行為とは、使用者の労働組合や労働者に対する、法律上禁止された行為をいいます。
不当労働行為は、以下の4つです。
例えば、従業員を解雇したところ、その従業員が加入している労働組合が団体交渉を求めてきたという事例で、企業が団体交渉を拒否するといった場合です。
企業は、労働組合による団体交渉の内容をただちに受け入れる義務はありません。
しかし、団体交渉自体に応じる義務はあります。
単に交渉に応じればよいというわけではなく、誠実に応じなければなりません。
誠実に応じていないと判断される場合には、不当労働行為としての団体交渉拒否が成立することになってしまいます。
不当労働行為にあたると判断されると、企業は、労働委員会からの救済命令に応じたり、損害賠償を請求されてしまう可能性があります。
このように不当労働行為に該当しうる行為を行ってしまうと、労働組合との間で紛争が生じることになります。
企業ができる対策としては、以下の4つが挙げられます。
労働組合との間で、定期的にお互いの意見を率直に交換する場を設けることが重要です。
このような場がないと、企業が予測していなかった主張をされ、紛争に発展してしまう可能性があります。
普段からコミュニケーションがとれていると、未然に紛争を防ぐことができるでしょう。
スムーズに交渉を進めるためにも、団体交渉のルールを定めておきましょう。
労働組合からの団体交渉の内容は、ただちに解決できないことが少なくありません。
社内で検討し、検討した内容を労働者側に伝え、再び労働者側からの意見を聴くといった具合に議論を重ねていく必要があります。
その際、開催場所や費用の負担者、開催日や時間帯の決め方など団体交渉のルールが定まっていると、スムーズに交渉を進めていくことが可能になります。
労働者や労働組合の権利を侵害しないよう、社内で法令を遵守する体制を整えることは非常に重要です。
労働基準法や労働組合法といった労働関係法令を遵守することは、トラブル防止の基礎といえます。
企業が行った行為が不当労働行為にあたれば、労働組合との間で紛争となることは免れません。
公平な人事評価制度を構築し、これを適切に運用することで、不利益取扱いや労働組合に対する支配介入であるとの主張がなされることを防止することができます。
労働組合に加入していることを理由に、不利益な取扱いをしてはなりません。
また、不利益な取扱いであるとの疑いをかけられるような取扱いも避けるべきでしょう。
公平な人事評価制度が構築、運用されていれば、そのような取扱いを避けることが可能になります。
労働組合と紛争にならないよう対策を講じることは重要ですが、具体的に企業がやってはいけないことを知っておくことも重要です。
以下のような対応は、不当労働行為に該当する可能性があるため避けましょう。
企業が不当労働行為に該当する行為を行っても、刑事罰が科されるわけではありません。
しかし、労働組合は、労働委員会に対して、救済命令を申し立てることができます。
申立てが認められると、救済命令が確定します。
もし、企業が確定した救済命令に従わなかった場合には、50万円以下の過料が科される可能性があります。
労働委員会の救済命令に対しては、裁判所に取消訴訟を起こすことができますが、裁判所が取り消しを認めなかった場合には、救済命令の内容が確定することになります。
それでも企業が救済命令に従わないと、1年以下の禁固もしくは100万円以下の罰金刑に科される可能性があります。
不当労働行為をした場合には、労働者や労働組合から、損害賠償を請求される可能性もあります。
また、組合に加入したことや正当な組合活動を理由に従業員を解雇した場合には、解雇が不当解雇となり、損害賠償を請求される可能性もあります。
関連記事:企業を守る!不当解雇における「バックペイ」リスクとは?
労働組合と紛争となった場合には、以下のような内容を弁護士に依頼し、メリットを受けることができます。
団体交渉への対応を弁護士に依頼することができます。
多くの団体交渉は、労働組合が団体交渉の申入書を企業に交付することによって開始します。
まず、企業としては、この申入書の内容を精査し、内容に応じて適切な対応をとることになります。
初動を誤ると、不当労働行為と判断されかねず、交渉が不利になってしまう可能性があります。
そのため、申し入れに対する最初の対応は非常に重要となってきます。
弁護士に依頼すれば、法律を遵守した適切な対応をとることが可能になるでしょう。
救済申立てへの対応を弁護士に依頼することができます。
救済申立てが行われた場合、会社はまず事実を調査し、調査結果をもとに答弁書を作成し、証拠とともに労働委員会に提出しなければなりません。
しかし、事実の調査や答弁書の作成、証拠の収集には、専門的な知識や膨大な時間を要するでしょう。
弁護士に依頼することで、不当労働行為に該当しないことを適切に主張し、書面の作成や手続きへの煩わしさを避けることができます。
訴訟への対応も弁護士に依頼することができます。
合意にいたらず、当事者が救済申立ての内容に納得できない場合には、訴訟手続きに移行することもあるでしょう。
訴訟となると、事実の主張や証拠の提出について、より一層の慎重さが求められます。
この場合には、法律の専門家である弁護士に相談し、依頼することをお勧めします。
弁護士に依頼することで、事実の主張や証拠の収集・提出を適切に行うことによって企業側の権利を守ることができ、また、訴訟による負担を軽減することができるでしょう。
今回は、労働組合との紛争から企業を守るための対策などについて解説しました。
労働組合との間で紛争が生じる大きな要因の1つは、企業による不当労働行為です。
企業としては、不当労働行為を行わないための対策、対応をとることが求められるでしょう。
労働組合による団体交渉は不当だとして、これを拒否するといった対応はやめましょう。
労働紛争となった場合にも、適切に対応する必要があります。もし、労働組合との紛争についてご不明な点がございましたら、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
このコラムの監修者
弁護士法人 法律事務所ロイヤーズ・ハイ
金﨑 正行弁護士(大阪弁護士会) 弁護士ドットコム登録
交渉や労働審判、労働裁判などの全般的な労働事件に対応をしてきました。 ご相談いただく方にとって丁寧でわかりやすい説明を心がけ、誠心誠意、対応させていただきます。 お困りの方はお気軽にご相談ください。
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