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英文契約書であっても,日本語で作成される契約書であっても,契約書の役割に大きな違いはありません。
契約書は,契約当事者双方の意図を正確・明確に記録して,当事者間の紛争や誤解を防ぎ,契約締結時に両社で取り決めた内容をその通り履行するために作成されます。
契約書の役割は,契約の存在とその内容を証明することで紛争を防止し,万一紛争となった場合には,その契約書を武器に相手方と交渉し,契約書通りの履行を可能とする点にあるといえるでしょう。
もっとも,契約書の必要性や重要性は,国内取引と国際取引で異なります。国内取引であっても,相手先やビジネスの重要度によっては異ならないケースも増えてきていますが,国際取引では,契約書の必要性・重要性はより一層際立っています。
国際取引の企業間においては,互いに言葉や文化,習慣,考え方が異なっており,具体的かつ詳細に定められた契約書がなければ,契約の有無・内容・条件などについて誤解や紛争が生じやすくなっているためです。
日本の常識が世界の常識ではないということを念頭に置いた上で,英文契約書を作成する必要があります。
英文契約書へのサインは,会社や組織から契約締結の権限を与えられた者が,ボールペンか万年筆で署名するという方法によって行われます。
筆記具については,特に決まりがある訳ではありません。しかし,字が消えてしまったり改ざんされたりすることを防ぐ必要があるため,ボールペンや万年筆によることが一般的です。
英文契約書には,一般的に,次のような記載欄が設けられています。
署名欄,自署欄になります。
署名欄は, “Signed by”や“Signature”と表記されていることもあり,権限ある担当者によって手書きで記載される必要があります。アンダーラインや枠からはみ出している場合であっても,権限ある担当者本人の意思で署名したと判断される限り,有効な署名となりますので問題ありません 。
英文契約書の場合,サインはローマ字でされることが好ましいですが,漢字であっても契約書は有効に成立します。ただし,相手方が読めないと不信感や不安を与えてしまいます。そのため,日本人がサインする場合であっても,ローマ字で署名することが望ましいでしょう。
なお,一般的に,現代の英文契約書においては印鑑を押す文化はないため,印鑑を押す必要はありません。もし,押してしまった場合であっても,無益的記載事項として扱われるため,相手方が訂正等を求めない限り,契約書の成否に影響を与えることはありません。
契約書に署名する人物の氏名が記載されます。
“Print Name”や“Printed Name”と表記されていることもあり,一文字ずつ明確に記入する必要があります。また,“Block Capitals”と表記されている場合には,大文字で記入する必要があります。
記載方法については,ローマ字で「First name(名前)・Family name(名字)」の順に書きます。
例えば,「田中 今日太」の場合,「Kyota Tanaka」となります。
Nameの欄は手書きで記入する必要はなく,パソコンによる入力やゴム印などでも構いません。
会社や組織内での役職が記載されます。
例えば,会社の代表取締役であれば,“President”と記載されます。
取締役や部長職の場合は,“Managing Director”と記載されることが多いですが,この場合には本当に会社を代表する権限があるのか,契約書を締結する権限が与えられているのかを確認することが肝要です。
署名する年月日を記載します。
年月日の記載については,アメリカ式とイギリス式とで記載方法が異なるため注意が必要です。記載する前に,必ずどちらの形式であるのかを確認しておきましょう。
例であげたように,月についてはローマ数字で表記した場合,混乱を生じかねません。そのため,Julyなどと英語で記載することをお勧めします。
契約書の他の箇所に日付の記載がある場合には,記載方法を合わせるようにしましょう。
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日本では,必ずしも書面のみを重視せず,契約書では最小限の項目のみを取り決めておき,契約者双方の長期的な信頼関係に基礎を置いて様々な事態に対応しようとします。
このような対応が成り立つ理由は,相手方との信義に則した誠実な交渉(民法1条2項参照)を前提としているためです。
一方で,英文契約書では,契約書に書かれている内容が全てです。基本的に,あとで話し合えば何とかなるという考えは成り立たちません。また,自社の解釈通りに相手方が解釈するとは限りません。
英米法には,“Parol evidence rule”と呼ばれるルールがあり,直訳すると「口頭証拠の原則」,その内容を踏まえて「口頭証拠排除の原則」と訳されます。
口頭証拠排除の原則とは,英米法上の書面重視,口頭証拠軽視・排除を表現したルールです。当事者の契約内容について,合意内容が最終的な完全なものとして契約書が作成され,契約書に記載されている場合には,これと異なる合意内容を口頭の合意として当事者又は第三者の証言で立証することを排除します。
例えば,米国の統一商事法典であるUCC(正式名 “Uniform Commercial Code”)では,Section2-202において,口頭証拠排除の原則が規定されています。
英米法のもとでは,このようなルールを念頭に契約書が作成されるため,網羅的に条件が定められ,あらゆる不測の事態を想定して契約書が作成されます。
このことは,英文契約書における“Entire Agreement”(最終性条項)に表れています。
そのため,契約書にサインする前に,必ず全ての条項について慎重なレビューを行わなければ,会社が思わぬ不利益を被ることになりかねません。
上記例は,英文契約書における“Entire Agreement”(最終性条項)の一例となります。
契約書レビューが不安な場合には,英文契約を専門とする弁護士や法務担当に相談することをお勧めします。
参照:§ 2-202. Final Written Expression: Parol or Extrinsic Evidence. | Uniform Commercial Code | US Law | LII / Legal Information Institute (cornell.edu)
今回は,英文契約書にサインする方法と注意点について解説しました。
英文契約書へのサインは,会社や組織から契約締結の権限を与えられた者が,ボールペンや万年筆などで署名するという方法で行われます。
契約書にサインする前に,必ず慎重なレビューを行い,修正が必要な事項については修正案を提示して交渉することが重要です。そのうえで,契約書に書かれていることが全てであるという認識のもと,サインするようにしてください。
このコラムの監修者
弁護士法人 法律事務所ロイヤーズハイ
永田 順子弁護士(大阪弁護士会) 弁護士ドットコム登録
国内取引のみならず、海外企業との取引を行う際の法務に携わってきました。 海外企業との英語・英文での契約書の作成・チェックを強みにしております。 海外進出・展開をお考えの方、すでに海外企業と取引があって英文の契約書を作りたい・ 見直したい方は是非一度ご相談くださいませ。
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